山梨大学電子シラバス>検索結果一覧>授業データ



授業科目名 行政法I
時間割番号 LSS219
担当教員名 伊藤 智基
開講学期・曜日・時限 前期・金・V 単位数 2
<対象学生>
地域社会システム学科3年
<授業の目的および概要>
 行政法という学問は、「行政の担い手(※1)」が「国民・市民」に対して行う「行政活動(※2)」を、「法(※3)」で規律する仕組みについて考察するものである。<BR> これまでの人類の歴史からして、「行政の担い手」は、賄賂を受け取ったり、重い税金を徴収したり、仕事をさぼったり、必要以上に関与してきたりして、国民・市民に対して迷惑をかける可能性が高い存在であることが判明しているので、そういったことが生じないようにあらかじめ「行政活動」に対して「法」で縛りをかけておく、というのが、行政法の出発点である。<BR> では、「行政活動」に対して何でもかんでも「法」で縛りをかけておけばそれで世の中がすべて上手くいくのであろうか、縛りをかけるとした場合にその「法」とはどのような内容であるべきだろうか、「法」に反する「行政活動」に対してはどのように対処すればいいのであろうか。こういったことを学び、理解するのが、本講義の目的である。<BR><BR>※1「行政の担い手」とは、第二次世界大戦後の日本においては、国レベルでは、内閣総理大臣、各省大臣、国家公務員などを指し、地方自治体レベルであれば、知事、市町村長、県庁や市役所の職員、警察官、消防官などを指す。<BR>※2「行政活動」とは、税金を徴収したり、交通違反を取り締まったり、営業許可を出したり、といった様々な活動のことである。<BR>※3「法」とは、国民の代表によって制定される「法律」、市民の代表によって制定される「条例」が主なものである。法学においては、国民・市民の代表者が制定したということから「法」は非常に重要なものであるとされており、「行政の担い手」が「行政活動」を行う際には必ず「法」を遵守しなければならないとされている。
<到達目標>
1 行政法という学問の全体像を把握すること。<BR>2 その中の要点について理解を深めること。<BR>3(1と2を前提として、)行政法が科目として出題される公務員試験や各種資格試験の受験者であれば、市販されている各種の参考書を自力で理解するための必要最低限の基礎的な知識を身に付けること。
<授業の方法>
 講義形式とする。<BR> 受講生はテキストを予め購入し、講義開始までにその講義で取り扱われる箇所を読んで頭に入れてくることを必要とする。それを前提とした上で、教室での講義においては、理解を確認するための問題を解いてもらったり(小テスト)、テキストの内容の補足や別の角度からの解説を行ったり、次回講義の概要説明を行ったりする。<BR> なお、毎回配布する講義レジュメは、A4タテの2穴フラットファイル(大学生協にて1冊100円以下で販売中)に保存することをお勧めする。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 80  %筆記試験(持込み可。とはいえ、きちんと内容を理解していないと解けないような問題とする) 
2小テスト/レポート 20  %論述形式のレポート(期末期に提出)。そのほか、毎回の小テストの結果も若干加味する。 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
 行政法の講義を担当する伊藤智基です(本務校は山梨県立大学です)。後期の「行政法」も担当します。<BR> 行政法という学問分野は、「行政組織法」、「行政作用法」、「行政救済法」という3分野で成り立っているのですが、これら3つを15回の講義だけで全て網羅するのは無理なので、「行政救済法」の中の「国家賠償」と「損失補償」についてはそもそもこの授業では取り扱いません(自学自習に委ねます)。また、これ以外の領域についても、詳しく解説することは時間的に到底無理なので、要点を解説していく形になります(よって細部は自学自習に委ねます)。<BR> また、この講義では、あらかじめテキストの指定範囲を読んできてから、講義に臨むことが求められます(そして毎回、講義の最初に小テストを行います)。ちなみに、テキストを使うにしても、ページ数が多く文字がびっしりというものであったり値段が高すぎたりすると受講生のみなさんのやる気を削ぐと思いましたので、これ以上ないほどにシンプルかつ値段が安いテキストにしています。きちんと買って、該当箇所を毎回読んできてくださるよう、お願いします(テキストのタイトルには「面白いほど理解できる」と書いてあるものの、そうは問屋が卸さないでしょう。上述のとおりこのテキストはシンプルな内容なので、これさえあれば講義に出なくても行政法が理解できて良い成績を収められる、ということには決してならないと思います)。<BR> 第1回目の授業に出席する際には、あらかじめテキストの2頁から11頁までを読んできてください(それ以降の回については、講義の中でお知らせします)。
<テキスト>
  1. 行政法研究会ほか, 面白いほど理解できる行政法[第2版], 早稲田経営出版, ISBN:4847138317,
    (もし「第3版」が出ていたら、「第3版」を使います。)
<参考書>
  1. 宇賀克也・交告尚史・山本隆司(編), 行政判例百選 1 [第6版], 有斐閣, ISBN:4641115117
  2. 宇賀克也・交告尚史・山本隆司(編), 行政判例百選 2[第6版], 有斐閣, ISBN:4641115125
<授業計画の概要>
1回目 ガイダンス、行政法の全体像、基本原理(法律による行政の原理)<BR>2回目 行政立法<BR>3回目 行政行為1<BR>4回目 行政行為2<BR>5回目 行政指導、行政計画<BR>6回目 実効性確保手段<BR>7回目 法律による行政の原理の例外・限界(行政裁量)<BR>8回目 行政手続法<BR>9回目 情報公開制度、個人情報保護制度<BR>10回目 行政不服申立て<BR>11回目 行政事件訴訟法1 〜いろいろな訴訟類型〜<BR>12回目 行政事件訴訟法2 〜処分の取消訴訟1 訴訟要件1〜<BR>13回目 行政事件訴訟法3 〜処分の取消訴訟2 訴訟要件2〜<BR>14回目 行政事件訴訟法4 〜処分の取消訴訟3 審理、判決〜<BR>15回目 総括評価:まとめ