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授業科目名 遺伝子工学
時間割番号 LBT314
担当教員名 野田 悟子
開講学期・曜日・時限 前期・木・I 単位数 2
<対象学生>
BT,WP過年度生
<授業の目的および概要>
遺伝子工学は、医学、工学、農学等の幅広い分野で基礎から応用まで利用されている。本講義では、遺伝子クローニングに用いる酵素やクローニングベクター、並びにクローニング方法や遺伝子等の検出・解析方法などの遺伝子工学の基礎について学ぶ。また、遺伝子組換え関連技術や法令等の知識も習得し、遺伝子工学の倫理的側面についても理解する。<BR>生物工学実験IVの基礎知識を習得する。
<到達目標>
核酸(DNA, RNA)の構造や化学的性質を理解し、遺伝情報の保存における核酸の役割を理解する。また、生命の基本設計図である遺伝子について、その発現の仕組みや調節機構を理解し、遺伝子工学に必要な一般原理と基本概念を習得する。  
<授業の方法>
講義
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 50  %遺伝子工学の知識の理解度、遺伝子工学に関する考え方を中心に評価する。 
2小テスト/レポート 40  %講義内容の理解度を確認するため、中間期に小テストを行う。実施の詳細については、事前に発表する 
3受講態度 10  %質問等の学習態度も加味して総合的に評価する。 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
(未登録)
<テキスト>
  1. 近藤昭彦、芝崎誠司, 遺伝子工学, 化学同人, ISBN:9784759811100
<参考書>
  1. Bruce Alberts (著), 中村 桂子 (監訳), 松原 謙一 (監訳), 細胞の分子生物学 第5版 , ニュートンプレス, ISBN:431551518672
  2. ワトソン, 遺伝子の分子生物学 第5版, 東京電機大学出版局, ISBN:4501621206
<授業計画の概要>
第1回:染色体および遺伝子の構造と機能<BR>生物の形質は遺伝子によって決定されている。遺伝子の本体はDNAであるが、真核生物の細胞内でDNAはタンパク質の助けをかりてたたみ込まれ、凝縮して染色体という構造を取っている。原核生物と真核生物の染色体並びに遺伝子構造の違いを学ぶ。<BR>第2回:DNAの複製、転写と翻訳<BR>DNAは遺伝情報を担うので、細胞増殖の際には、親細胞の持つDNA鎖を鋳型として同じDNA分子が正確に複製される。DNAの複製、さらに遺伝情報が発現する仕組みについて学ぶ。<BR>第3回:遺伝子発現の調節1<BR>大腸菌は約4300個、ヒトの細胞は約30000種の遺伝子を持つ。これら全ての遺伝子は常に発現している訳ではなく、遺伝情報の発現は調節されている。リプレッサーやアクチベーター等の転写因子が関わる遺伝子の発現調整について理解する。<BR>第4回:遺伝子発現の調節2 〜細菌の環境応答〜<BR>外界の刺激に応答した様々な遺伝子の発現制御には、タンパク質のリン酸化反応を介した情報伝達機構等が関わっている。二成分制御系等の刺激応答系や、リン酸化や修飾による遺伝子の発現調節について学ぶ。<BR>第5回:遺伝子工学と酵素<BR>遺伝子工学で良く用いられる、制限酵素と修飾酵素について学ぶ。<BR>第6回:宿主とベクター(プラスミドとファージ)<BR>プラスミドの複製起点と宿主適合性や、不和合性等について理解する。<BR>第7回:遺伝子クローニングの方法<BR>遺伝子工学で最もよく用いられる大腸菌を用いたクローニング方法、並びにゲノムライブラリー、cDNAライブラリーの作製方法について理解する。<BR>第8回:遺伝子・遺伝子産物の検出法<BR>DNAの電気泳動法、核酸同士の相補的な結合を利用した実験法(ハイブリダイゼーション、DNAマイクロアレー)等の遺伝子工学研究で使われる実験手法を理解する。<BR>第9回:遺伝子の解析法<BR>PCRの原理と応用、塩基配列決定法について理解する。<BR>第10回:遺伝子の発現と機能解析<BR>異種生物を用いたタンパク質の作製では、プロモーターやコドン使用頻度等の遺伝子発現に関する知識に加え、発現タンパク質の安定性や精製法等の知識も必要とされる。タンパク質の分離精製に関する実験手法についても学ぶ。<BR>第11回:ゲノム解析<BR>生物の形質を決定する遺伝子全体をゲノムという。1970年代にDNAの塩基配列の決定法が確立されてから、DNA解読技術、計算機の飛躍的な進歩により、現在では非常に多くの生物のゲノムが解読されている。ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム等のオミックス解析について学ぶ。<BR>第12回:生物進化とゲノム<BR>ゲノムに導入された変異による表現型の変化が進化を引き起こしている。従来、生物の進化や分類は、形態学的特徴に基づいていたが、近年ではゲノムを土台とした分子系統進化が重要な位置を占めている。変異や染色体組換え等のゲノム変化と種の進化、核酸やタンパク質配列を基にした分子系統学の基礎を理解する。<BR>第13回:遺伝子工学を利用した医療<BR>遺伝子工学を利用した医薬品の製造(インターフェロン、インスリン等)、遺伝子治療、ゲノム創薬等について学ぶ。<BR>第14回:バイオハザードおよび遺伝子工学の倫理的・社会的側面<BR>生物多様性条約、カルタヘナ議定書の内容を理解し、バイオハザードや生物の多様性保全等の重要性を学ぶ。また、生殖医療や再生医療等への理解を深め、遺伝子工学の問題点等について議論する。<BR>第15回:総括・評価