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授業科目名 宗教学
時間割番号 EES243
担当教員名 高木 久夫
開講学期・曜日・時限 集中・(未登録)・(未登録) 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的および概要>
第二神殿崩壊(後1世紀)までの古代イスラエルの宗教思想の基本的なりたちを、ヘブライ語聖書(キリスト教の言う旧約)の吟味を通し理解する。とくに信仰の対象となるテクストを史料として批判的に解釈する文献学的宗教学のアプローチに親しむ。また古代イスラエルの宗教と、後にこれを母胎に開花するユダヤ教、キリスト教やイスラームの経典との基本的関連を明らかにする。ひいてはヘレニズムとならぶ西洋の源流であるヘブライズムを、ある種の"抜け殻"と見なす19世紀キリスト教的偏見を修正し、歴史意識の背後に横たわる自文化中心性への自覚を高める。
<到達目標>
コース終了後、受講者が、1) 古代ユダヤの史的概略を正確に理解し、2) ヘブライ語聖書とユダヤ思想のいくつかの主要な思想的要素について初歩的な説明ができ、3) 独力でより専門的な文献を理解し、4)高等学校までの歴史知識にひそむヨーロッパ中心主義的な偏見を指摘できることをめざす。
<授業の方法>
全回を講義形式とし、レポート(または論述試験)を課す。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1小テスト/レポート 80  %指定課題に即した論証、思想史的トピックの理解、批判性 
2受講態度 20  %質問など授業への積極的貢献 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
・宗教的テクストを思想史的に取りあげるので、性急な図式化を期待しないこと。<BR>・事前自習として、高等学校「世界史B」教科書で、古代オリエント(メソポタミア・エジプト)、ヘレニズム世界の拡大、ローマ期の地中海世界とキリスト教の浸透、ムハンマド時代について、基本事項を正確に確認しておくこと。さらに、山我哲雄『聖書時代史 旧約編』岩波現代文庫(または石田友雄『ユダヤ教史』山川出版社)を通読しておくことを勧める。<BR>・聖書は抜粋をウェブ配布するほか、全体をウェブテクストでも読めるが、あらたに購入するばあい「旧約聖書続編つき」をすすめる。
<テキスト>
(未登録)
<参考書>
  1. 山我哲雄, 聖書時代史 旧約編, 岩波現代文庫
  2. 市川裕, ユダヤ教の歴史, 山川出版社
  3. C. レヴィン, 旧約聖書 歴史・文学・宗教, 教文館
  4. 関根正雄ほか, 聖書の世界 (総解説), 自由国民社
  5. J. ボウカー編著, 聖書百科全書, 三省堂
<授業計画の概要>
【第1回】 講義へのいざない「ユダヤ思想の広さと狭さ」<BR>【第2回】 宗教への知的アプローチ<BR>【第3回】 批判的文献学のアプローチ<BR>【第4回】 ヘブライ語聖書正典のなりたち<BR>【第5回】 古代イスラエルの民族史的自己像<BR>【第6回】 神と民の契約<BR>【第7回】 トーラーの中心性(1)<BR>【第8回】 トーラーの中心性(2)<BR>【第9回】 前の預言者と後の預言者の関心<BR>【第10回】 終末論と黙示思想<BR>【第11回】 神殿中心の伝統と律法解釈中心の伝統<BR>【第12回】 ラビ・ユダヤ教成立前夜の思想的多様化<BR>【第13回】 ラビ注解の連鎖とその多声性<BR>【第14回】 キリスト教・イスラームの経典とユダヤ経典との関係<BR>【第15回】 総括・評価