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授業科目名
指導教員
乱流輸送工学特論
角田 博之/山本 義暢
時間割番号
単位数
コース
履修年次
期別
曜日
時限
417510 2 (未登録) 1 後期 III
[概要と目標]
機械工学で問題となる多くの実用上の流れは,レイノルズ数の高い乱流として現れる.乱流は層流に比べて著しく大きな輸送特性をもつことが知られている.この乱流の物理的な特質を理解するために,まず,層流と乱流の流体工学的な違いや乱流への遷移に関する安定性の問題,そして乱流の統計的な特性について学ぶ.次いで,理論的扱いが完成され,最も基本的且つ単純な乱流場である等方性乱流を対象として,乱流を統計的に扱うための基礎概念を学ぶ.等方性乱流理論で学んだ統計的解析手法を発展させ,より実用的な非等方の乱流せん断流の解析に応用する.そして,管内流,境界層流,自由せん断流などの各種の実際的な流れを対象として,運動量や熱の輸送方程式の性質を調べ,数値解析法や計測法までを含めてそれらの扱いを修得する.
[到達目標]
各種機械・機器の設計や開発において流体工学が関わる問題は多い.本講義では,これらの問題に対応でき,さらに新技術の創出に向けての応用力を備えた技術者養成を目指して,以下の到達目標を設ける.<BR>1.乱流の基礎的概念を理解していること.<BR>2.乱流の統計手法を理解し,実際の流れに応用できること.<BR>3.乱流の基礎式に基づき,流れの説明ができること.<BR>3.
[専攻の目標と講義の目標との関連性]
攪拌や混合の高効率化,強制対流による冷却や加熱時の熱効率向上,さらには流動抵抗を減らすことによる省エネルギへの寄与など,輸送機械やプラント機器をはじめとする各種機械・機器の設計や開発に流体工学が果たすべき役割は依然として大きい.これらの問題に対応できる優れた技術者を養成するためには,乱流輸送に関する基礎的概念と初歩的な統計手法の概念を理解していることが必要不可欠である.本講義では,まずこれらの基礎知識を丁寧に説明し,レポート等により修得が十分であることを確認する.その後,最新の研究成果の紹介を交えつつ,等方性乱流理論やより実用的な乱流せん断流れの典型例を扱うことにより,乱流輸送に関する基礎理論を基盤にもち,且つ,新しい技術の創出にも取り組むことができる応用力を備えた技術者を養成することを目指す.
[必要知識・準備]
学部及び大学院前期で学ぶ流体工学ならびに流体力学に関する知識全般,微分積分学の基礎・応用知識,ベクトル解析の基礎知識
[評価基準]
No評価項目割合評価の観点
1小テスト/レポート 80  %講義内容の理解度と応用力を数回のレポートで評価 
2発表/表現等 20  %レポート内容や学習内容の発表を評価 
[教科書]
(未登録)
[参考書]
  1. P. A. Davidson, Turbulence: An Introduction for Scientists and Engineers, Oxford University Press, ISBN:019852949X
  2. S.B. Pope, Turbulent Flows, Cambridge University Press, ISBN:0521598869
  3. H. Schlichting, K. Gersten, Boundary-Layer Theory, Springer, ISBN:3540662707
  4. H. Tennekes, J.L. Lumley, A First Course in Turbulence, The MIT Press, ISBN:0262200198
  5. D. J. Tritton, Physical Fluid Dynamics, Oxford University Press, ISBN:0198544936
[講義項目]
(1)序論<BR>(2)層流と乱流−その1<BR>(3)層流と乱流ーその2<BR>(4)流束と乱流輸送<BR>(5)等方性乱流−その1<BR>(6)等方性乱流ーその2<BR>(7)レイノルズ方程式<BR>(8)乱流剪断流一般 <BR>(9)管内乱流<BR>(10)境界層流<BR>(11)自由剪断流<BR>(12)各種の乱流モデルとDNS<BR>(13)乱流の計測法ーその1<BR>(14)乱流の計測法ーその2<BR>(15)総括評価とまとめ