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授業科目名 公共性の哲学
時間割番号 180351
担当教員名 本間 信長
開講学期・曜日・時限 後期・金・III 単位数 2
<対象学生>
(未登録)
<授業の目的および概要>
自由主義及びその批判的立場を取上げて公共性と価値の関係を検討することを導入として、現代の科学技術と国家の関係及びそれをめぐる公共哲学の議論を概観し、自然・人間・社会を幅広く俯瞰する能力と論理的・批判的思考力の涵養を目指します。<BR>概要:カール・シュミットの自由主義批判から自由主義と技術・倫理・政治の関係を批判的に見る視点を学んだ上で、1995年以降の日本の科学技術研究開発をめぐる状況について、総合科学技術会議を紹介しながらその変化を概観し、現代日本における政治と科学技術の関係について学ぶ。
<到達目標>
到達目標:カール・シュミットの論文「中性化と非政治化の時代」における自由主義批判の概略を理解すること、および1995年以降の日本政治と総合科学技術会議や科学技術基本計画の関係について概要を理解すること。
<授業の方法>
基本的に講義中心で進める。理解度確認のため、授業内小テストを行うので、欠席のないよう心がけて欲しい。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 50  %期末試験(授業全範囲、小テストの範囲も含む) 
2小テスト/レポート 40  %授業内小テスト5回(初回は第3回の予定、城山英明編『科学技術ガバナンス』の第1章と第3回までの授業内容を範囲とする。その後実施回及び範囲はそのつど指定) 
3発表/表現等 10  %コメントシート等で評価する。 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
iPS細胞の成果などもあり科学技術研究開発に対する関心は以前より高くなってきていますが、日本における科学技術研究開発と国家の関係の1995年以降の大きな変化はあまり知られていません。それは、公共性に大いに関係する変化です。この授業では、その変化とそこに潜む問題を取上げる予定です。自由主義と科学技術の関係をめぐる理論的な考察もあり、抽象的な議論も含まれますが、現代日本の一面を理解することを目指しています。城山英明編、『科学技術ガバナンス』の第1〜3章はあらかじめ読んでおいてください。
<テキスト>
  1. 城山英明編, 科学技術ガバナンス, 東信堂、2007
  2. カール・シュミット, 中性化と非政治化の時代,
    ((カール・シュミット、田中浩/原田武雄訳『合法性と正当性』未来社、1983.所収))

  3. チャールズ・テイラー、渡辺義雄訳, ヘーゲルと近代社会, 岩波書店、1981
  4. マイケル・サンデル、鬼澤忍訳, 公共哲学, ちくま学芸文庫、2011
  5. 小林正弥, サンデルの政治哲学, 平凡社新書、2010
<参考書>
  1. 佐藤文隆, 職業としての科学, 岩波新書、2011,
    ((特に「はじめに」、第1章、第6〜8章、「あとがき」))

  2. 藤垣裕子, 専門知と公共性:科学技術社会論の構築へ向けて, 東京大学出版会、2005
  3. A.D.リンゼイ、永岡薫訳, 民主主義の本質, 未来社、1992
  4. A.D.リンゼイ、渡辺雅弘訳, 科学・政治・宗教, 未来社、1992
  5. 篠原一, 市民の政治学:討議デモクラシーとは何か, 岩波新書、2004
<授業計画の概要>
変更の可能性あり。<BR>1.「科学技術と政治:という問題:科学技術をめぐる自由主義国家と価値<BR>2.自由主義と「価値」:カール・シュミットの自由主義批判1<BR>3.自由主義と「価値」:カール・シュミットの自由主義批判2<BR>4.20世紀の戦争、マンハッタン計画:戦争と科学技術の結合1<BR>5.20世紀の戦争、マンハッタン計画:戦争と科学技術の結合2<BR>6.総力戦の政治的意味:国民国家化、社会の政治化と「戦後日本」の科学技術政策の特徴<BR>7.科学技術基本法・総合科学技術会議・科学技術基本計画<BR>8.第2期科学技術基本計画の特徴<BR>9.第3期科学技術基本計画の決定過程<BR>10.第4期科学技術基本計画の決定過程<BR>11.公的問題としての科学技術1:公共事業と科学技術<BR>12.公的問題としての科学技術2:科学技術とコミュニケーション/フレーミング問題等<BR>13.公的問題としての科学技術3:科学技術とデモクラシー/コンセンサス会議等<BR>14.自由主義・価値:T.H.グリーン、A.D.リンゼイ<BR>15.倫理と社会:チャールズ・テイラー、マイケル・サンデル