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授業科目名
担当教員
社会システム論
鈴木 嘉彦
時間割番号
単位数
コース
履修年次
期別
曜日
時限
266211 2 J 3 前期 IV
[概要]
自然現象や人工的な機械の動きと社会現象の違いは、現象そのものに人間が介在していることである。人工的に作られた機械類は、もともと製作者の意図にしたがって動くように造られているのであるから、その動きが意図と違ったならばもはや造られた機械ではない。機械と呼ばれている以上は、その動きを完全に記述している数学的な記述形式が存在する。<BR>自然界の動きを表現の対象としたシステムシミュレーションなどにおいては、人工的に作られたものの動きとは異なり、数学的に完全な記述が与えられる場合は比較的に少ない。しかし、多少の誤差を含んでいることを許容すれば、現実に起こっている自然現象をシステム表現する事が出来る場合が多い。<BR>これに対して社会現象をシステムとして表現することは非常に困難な問題を含むことになる。人間が介在するからである。一人一人の人間は、それぞれに違った価値基準を持っており、同じ状況下においても、それぞれに違った行動を選択する。そのため、すべてに適用できるような普遍的な表現を導くことは極めて困難といえる。それでも、人間の社会では、まったく無秩序に社会が変動しているのではなく、ある程度の法則と考えられるような性格を持って現象が起こっていると考えられる。<BR>社会システム論はそのような社会的な現象をシステムとして表現することを試みる。もちろん、コンピュータの動作を記述するような、完全な表現が出来るわけではない。自然現象を記述するような精度の高い表現というわけでもない。しかし、社会的な現象をシステムとして把握することの意味、さらに一歩進んで、それを普遍的に表現する試みを学ぶことによって、社会を客観的に捉えること、普遍的に表現することを身につけてもらいたいと考えている。
[具体的な達成目標]
工学的なシステムの記述方法と社会的なシステムの記述方法の違いを認識し、社会的な考察対象をシステムとして捉えられるようになること。<BR>社会的なシステムとしては、まず第一に市場経済での経済主体の意思がどのように反映されるのかをシステム相互の関係として捉えて分析し、その意味を理解する。これから消費者余剰、生産者余剰、社会的余剰の考えや、その最大化の意味をシステムとして理解する。<BR>次に環境問題と連関して、外部不経済の問題を、経済主体と環境という観点から捉えて、外部不経済の内部化の問題を認識する。その他、排出権取引や環境税などについてシステムとしての捉え方を習得する。<BR>また、ゲームの理論の社会的な問題への活用方法についても学ぶ。
[必要知識・準備]
特別な知識は必要としないが、社会的な現象に対して、数理的もしくは論理的な捉え方で客観的に分析してみようという興味をもつことが必要である。
[評価方法・評価基準]
No評価項目割合評価の観点
1試験:期末期 40  %中間試験と併せて3回の試験で評価する。 
2試験:中間期 60  %定期試験と併せて評価する。 
[教科書]
(未登録)
[参考書]
  1. 鈴木嘉彦, 持続可能社会のつくり方, 日科技連出版社, ISBN:4817191791
[講義項目]
1.工学的なシステムの表現<BR>  工学的な観点からシステム理論がもっとも注目され、活用されているのは、制御に関わるようなシステム工学の領域である。まず初めに工学的なシステムの表現方法を概観する。<BR>2.消費者余剰、生産者余剰、社会的余剰<BR> 消費者、生産者のそれぞれが、何を考えて市場で行動するのか。それぞれの満足度が最も大きくなるということはどういうことなのかを数理的なシステムとして表現する。<BR>3.選好関係と無差別局面<BR>  市場経済において、経済主体である消費者と生産者の行動を理解するための基本となる選好関係と無差別局面の考え方を学び、パレード効率性、社会的余剰などの基本的概念を理解する。<BR>4. 限界便益と限界費用<BR>  市場における色々な動きを理解するためには、市場に参加する人にとっての便益と費用が大きな意味を持ってくる。この便益と費用の関係を理解するために有効な方法としての限界便益と限界費用について学ぶ。これによってコースの定理などの考え方を理解する。<BR>5. 環境価値評価<BR>  環境は土地の値段のようにその価値を市場の価格として扱うことが難しい。しかし、確かに環境は我々に大切な価値あるものである。環境の価値をどのように評価することができるのか、その方法について無差別曲線の考え方を利用して学ぶ。<BR>6. 環境税と排出量取引<BR>  いわゆる外部不経済の問題が発生する要因と、この問題を解決するための方法としての環境税、排出量取引などについて学ぶ。
[教育方法]
参考書として活用する「持続可能社会のつくり方」を基礎に、講義担当の鈴木のホームページの資料を活用しながら講義をすすめる。講義の進行に合わせて複数回の試験を行い、理解度を確認しながら講義を進める。
[JABEEプログラムの学習・教育目標との対応]
(未登録)
[その他]
(未登録)