山梨大学電子シラバス

授業科目名

担当教員

基礎物理学Ｉ

竹内　　智

時間割番号

単位数

コース

履修年次

期別

曜日

時限

257320 A

習熟度別

後期

火

III

［概要］

物理学は、環境科学、化学、生物学など他の自然科学に密接に関連しており、科学技術の発展を支える基礎となる学問である。基礎物理学Iでは物理学的考察・手法などの基礎になっている力学を中心に学ぶ。エネルギーの概念とエネルギーの保存則は物理学を通じて最も基本的・普遍的なものであり、これも力学的エネルギーから学ぶのが効果的である。エネルギー保存則および角運動量保存則を学び、惑星の運動や剛体の運動について理解を深める。進度に応じて、さらに弾性体・流体の力学や波動について学習する。 この授業は、応用化学科、生命工学科、循環システム工学科の３学科の受講生を習熟度別に３クラスに分けて実施する。

［具体的な達成目標］

力学に関する基本原理を習得し、関連する基本的な問題を自ら解くことができるようにする。 1.　運動量と衝突の基本的概念を実際の例を通じて理解し，応用できる。 2.　多体問題の基本的な力学的性質を理解し、質量中心の運動を求めることができる。 3.　固定軸の周りの剛体の回転運動の基本概念を理解し、慣性モーメントを計算することができる。 4．ベクトル積とトルクの関係を理解し、質点の角運動量や剛体の回転運動と角運動量の保存に関する基本的な問題を解くことができる。 5.　単振動や減衰振動、強制振動の運動を理解し、これを数学的に記述することができる。 6.　万有引力と惑星運動の関係を理解し，その力学的記述の歴史的意味を説明できる。 7．弾性体・流体力学の基本原理を理解し、基本的な問題を解くことができる。 8.　弦を伝わる波や音波の性質を理解し、波の重ね合わせや定在波を数学的に記述することができる。

［必要知識・準備］

高等学校の物理Iを履修していない場合や習得が不十分な場合には前期の基礎科目（物理）を履修すること。前期の入門物理学と同一の教科書を用い、その後半から始める連続の講義となるので履修することを強く勧める。高校の微分・積分学の知識を有していること。大学での微分・積分学の講義を履修していることが望ましい．

［評価方法・評価基準］

No	評価項目	割合	評価の観点
1	試験：期末期	40 %	上記達成目標に到達しているかどうかを筆記試験により評価
2	試験：中間期	30 %	力学の範囲について上記達成目標に到達しているかどうかを筆記試験により評価
3	小テスト／レポート課題	20 %	演習問題を宿題として課す
4	平常点／受講態度	10 %	以下に積極的に質問することを評価の対象とする

［教科書］

Raymond A. Serway著、松村博之訳, 科学者と技術者のための物理学？a および？b力学・波動, 学術図書出版社

［参考書］

市村宗武・狩野　覚, 物理学入門 I.力学, 東京化学同人, ISBN:4-8079-0578-3

［講義項目］

以下の順序で講義を行う．なお，物理学入門の修得の程度によって，はじめに復習を多めに行う． 第１回：仕事とエネルギー（１） 仕事と運動エネルギーの変化の関係について，自由落下やバネがする仕事を例に理解する． 第２回：仕事とエネルギー（２） ニュートンの運動方程式から「仕事・エネルギー定理」が導かれること，仕事の概念をベクトルや積分をつかって一般に適用できる関係式が書かれることを理解する． 教科書「エネルギーと自動車」の節を使って，具体的な熱，力学過程についての定性的な理解を得る． 第３回：ポテンシャルエネルギーとエネルギー保存則（１） 経路に依存する仕事と始点終点だけに依存する仕事があることを具体例を通じて理解する． １次元の運動について，エネルギー保存則をニュートンの運動方程式から導く過程を理解する． 第４回：ポテンシャルエネルギーとエネルギー保存則（２） いくつかの系に対してエネルギー保存則を適用し，問題解決の方法に習熟する． ポテンシャルエネルギー概念から安定性の定性的な理解が容易にできることを理解する． 力学の範囲を超えた対象についてもエネルギー保存則の概念が指導原理として生きることを説明する． 第５回：運動量と衝突（１） 多体系の運動方程式と第３法則から運動量保存則が導かれる過程を理解する． 力積の概念と撃力近似について具体例をもとに理解する． 第６回：運動量と衝突（２） 弾性・非弾性衝突における物理量の関係式を理解する． 質量中心の概念と質量中心の運動方程式の役割を理解する． 第７回：中間まとめと評価 質点系のまとめを行い，理解度の評価をする． 第８回：固定軸線の周りの剛体の回転（１） 回転運動の記述の仕方と，剛体の回転運動が慣性モーメントと角速度によって表されることを理解する． 第９回：固定軸線の周りの剛体の回転（２） 簡単な例についての慣性モーメントの計算ができるようになる． トルクと角加速度の関係式を理解する． 第１０回：転がり運動、角運動量およびトルク（１） 剛体の転がり運動の記述方法について理解する． 第１１回：転がり運動、角運動量およびトルク（２） 角運動量保存則について理解する． 第１２回：振動運動（１） 単振動の運動方程式と解について理解する． 減衰振動について運動方程式から振る舞いを理解する． 第１３回：振動運動（２） 減衰振動のより深い理解をする． 強制振動と共振を数理的にとらえられるなる． 第１４回：力学的波動 波動現象について，定性的な理解を得る． 第１５回：総括と評価 ＊　教科書目次に※印（適宜選択）が付けられた節など高度な内容については、授業進度に合わせて適宜選択する。 ＊　教科書章末の演習問題を，適宜，宿題としその解法，考え方について説明，ディスカッションを行う．

［教育方法］

１．プロジェクタ、黒板などを利用し、基本概念および原理を分かりやすく丁寧に提示する。理解を助けるために適宜演示実験を行う。 ２．身近な例題を取り上げ具体的に解説する。 ３．レポート課題を毎回課題として解くことにより理解を深める。誤りやすい事項に関する補足説明を行う。

［JABEEプログラムの学習・教育目標との対応］

(未登録)

［その他］

(未登録)