山梨大学電子シラバス

授業科目名

担当教員

遺伝科学概論

飯村　穣

時間割番号

単位数

コース

履修年次

期別

曜日

時限

255375

BT,WP

後期

木

III

［概要］

ここでは生命工学にとって最も重要な遺伝科学の基礎を平易に解説し、生命現象を遺伝学の立場から理解するための基本的な知識と考え方を修得させる。 　遺伝情報がどのように親から子へ伝播し、その遺伝情報に基づいてどのようにタンパク質が生成され、そのタンパク質によってどのように細胞が形成されるかを学習する。 即ち、遺伝子の本体であるＤＮＡの構造と複製の過程、ＤＮＡの情報に基づいてＲＮＡが生成する転写の過程、そしてＲＮＡの情報に基づいてタンパク質が生成する翻訳の過程を理解する。さらに各過程が細胞の増殖、あるいは環境への適応にあたってどのように調節されるか、その仕組みについても合わせて学習する。

［具体的な達成目標］

１．形質を決める情報源としての遺伝子とは何かを理解する。 ２．遺伝子の本体であるＤＮＡの構造と複製を理解する。 ３．染色体の構造と機能を理解する。 ４．遺伝情報の発現（転写と翻訳）過程とその調節機構を理解する。 ５．タンパク質の細胞内輸送、分泌機構をを理解する。

［必要知識・準備］

　高等学校で使用する教科書の「遺伝と変異」の項にある予備知識が有れば十分である。ここで最も大切なことは生命現象の仕組みに対する興味である。常に生命現象に対して「なぜ」、「どのようにして」という問題意識をもってほしい。

［評価方法・評価基準］

No	評価項目	割合	評価の観点
1	小テスト／レポート課題	90 %	遺伝に関する基礎知識と考え方を評価する。
2	平常点／受講態度	10 %	質問等の教室での学習態度を総合的に評価する。

［教科書］

PECK RITTER著　須藤、山本、有坂　訳, リッター　生化学, 東京化学同人, ISBN:4-8079-0498-1

［参考書］

［講義項目］

１．学習の手引き：形質を決める情報源としての遺伝子 　　メンデルの遺伝の法則、１遺伝子・１ペプチド、セントラルドグマ、ゲノムからプ 　　ロテオーム ２．３．核酸の構造と機能 　　ＤＮＡとＲＮＡの化学構造、ＤＮＡとＲＮＡの物理・化学的性質、塩基の対合によ 　　る二重らせん構造の形成、ＧＣ含量、ＤＮＡの変性とアニーリング、ＤＮＡ－ＤＮ　　Ａハイブリダイゼーション ４．５．６．染色体の構造と複製 　　染色体の構造、ＤＮＡポリメラーゼの反応、細菌のＤＮＡ複製、ファージのＤＮＡ 　　複製、プラスミドのＤＮＡ複製、真核生物のＤＮＡ複製と染色体の分配、ＤＮＡ複 　　製の制御 ７. ８．９．10．転写 　　発現の概要、転写の機構と制御（転写の概要、ｍＲＮＡの機能、ＲＮＡポリメラー 　　ゼの反応、プロモーターと遺伝子上流部の構造と機能、真核生物における転写制御 　　真核微生物における転写後のRNAプロセッシング） 11．12．13．翻訳 　　翻訳の機構とその制御（翻訳の概要、コドンとORF、転移RNA（ｔRNA）の構造と機 　　能、アンチコドン、アミノアシル－tRNA合成酵素による反応 　　リボソームの構造、タンパク質合成の仕組み） 14.タンパク質の細胞内輸送、分泌 　　小胞体の構造と機能、ゴルジ体の構造と機能、分泌の機構 15. 総括・まとめ：遺伝子の複製、転写、翻訳

［教育方法］

遺伝学的な考え方の修得を最も重視する。レポートを課し、受身の理解ではなく受講者が自ら考える授業を目指す。即ち知識詰め込み型ではなく考え方重視の授業を行う。 　板書を基本とし、必要に応じてＯＨＰを用いる。

［JABEEプログラムの学習・教育目標との対応］

(未登録)

［その他］

　記録しながら理解を深めるため板書を重視し、ノートをとらせる。