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授業科目名
担当教員
数値流体力学
角田 博之
時間割番号
単位数
コース
履修年次
期別
曜日
時限
271011 2 D 3 後期 III
[概要]
流れの基礎方程式を数値的に解き,実験室ではなく計算機の中で流れを実現しようとする学問分野が『数値流体力学(CFD)』である.現在では,流体関連機器の開発・設計における重要な一角を 担うまでに進歩している.<BR> 一般に,流体に限らず,連続物体の運動やエネルギ保存に関する支配方程式は偏微分方程式で表されることが多く,機械の開発や設計に携わるものはそれらの方程式を解くことが求められる.そこで,本講義ではCFDの理解に向けての基盤学習として,3年前期開講の『数値計算及び実習』の内容を踏まえ,その応用として以下の課題について講義し,さらに,実際に計算機を用いた演習を行う.<BR>a) 工学現象の数学的モデル化と偏微分方程式の意味<BR>b) 差分法に基づく偏微分方程式の数値計算<BR>c) 差分解法の安定性ならびに反復法に基づく連立方程式の数値解法<BR>d) ExcelやVBAを利用した数値計算実習
[具体的な達成目標]
 本講義では,『機械工学の基礎』の一つとして,「流れの数値計算法」を修得するための基盤学習として,差分法を利用した「偏微分方程式」の数値解法について学ぶ.特に,以下の4つの基本的問題を解決する能力を身に付けることを達成目標とする.<BR>a) 差分法の基礎を理解し,方程式や場の離散化を行えること.<BR>b) 差分近似式の適合性・収束性・安定性条件を理解し,実際問題に適用できること.<BR>c) 反復法による連立方程式の数値解法を修得すること.<BR>d) 熱伝導や波動,ポテンシャル流れなどの基本的問題に差分法を適用できること.
[必要知識・準備]
 『基礎教育』部門に相当する科目の中で特に「数学(線形代数学,微積分学および微分方程式)」,「物理(熱,振動,波動)」,「情報(情報処理および数値計算)」に関しての基礎知識を修得しておくこと.また,『基礎工学』部門の中で「流体工学II及び演習」に関して本講義と関係する内容を修得していることが望ましい.具体的な科目名と必要知識を以下に列挙する.<BR>a) 微分積分学及び演習(特に,偏微分の意味とテイラー展開)<BR>b) 線形代数学I(特に,連立1次方程式の理論を含めた行列演算)<BR>c) 微分方程式II(特に,偏微分方程式の基本的知識)<BR>d) 基礎物理学II(特に,熱,振動・波動など)<BR>e) 数値計算および実習(数値計算法に関する基礎的事項)<BR>f) 流体工学IIおよび実習(特に,ポテンシャル流の基礎式について)
[評価方法・評価基準]
No評価項目割合評価の観点
1試験:定期試験 40  %達成目標と関連した問題を課し,目標の理解度を評価 
2試験:中間試験 40  %達成目標と関連した問題を課し,目標の理解度を評価 
3小テスト/レポート課題 20  %特別な理由無く期限までに提出できない場合には評価しない 
[教科書]
  1. 教科書を特に指定しないが,以下の参考書をできるだけ購入し,講義に持参することが望ましい.また,講義および実習に当たっては,適宜,プリント等を配布する.
[参考書]
  1. 高見穎郎,河村哲也, 偏微分方程式の差分解法, 東京大学出版会, ISBN:4130629018
[講義項目]
 1.「CFD概説」<BR>    ☆CFDとは何か? どんな目的で何ができるか?<BR> 2.「工学現象と偏微分方程式(その1)」<BR>    ☆工学現象の数式によるモデル化<BR> 3.「工学現象と偏微分方程式(その2)」<BR>    ☆偏微分方程式の分類<BR> 4.「偏微分方程式の数値計算手法概説(その1)」<BR>    ☆数値的解法の意味・手順・性質<BR> 5.「偏微分方程式の数値計算手法(その2)」<BR>    ☆離散化の方法と種類,差分格子<BR> 6.「放物型・双曲型偏微分方程式に対する差分解法(その1)」<BR>    ☆陽解法による差分解法<BR> 7.「放物型・双曲型偏微分方程式に対する差分解法(その2)」<BR>    ☆陰解法による差分解法<BR> 8. 実習その1「Excel&VBAによる熱伝導方程式の差分計算」<BR> 9.「中間試験」 <BR>10.「放物型・双曲型偏微分方程式に対する差分解法(その3)」<BR>    ☆収束性と安定性 <BR>11.「放物型・双曲型偏微分方程式に対する差分解法(その4)」<BR>    ☆反復法による連立一次方程式の数値解法 <BR>12.「楕円型方程式に対する差分解法(その1)」<BR>    ☆ラプラス演算子,境界条件の扱い<BR>13.「楕円型方程式に対する差分解法(その2)」<BR>    ☆ポテンシャル流れ<BR>14. 実習その2 「Excel&VBAによるポテンシャル流れの差分計算」<BR>15.「期末試験」
[教育方法]
1)プロジェクターによるビジュアル教材を講義に取り入れる.<BR>2)講義項目毎にレポートあるいは小テストを課すことにより,具体的演習課題にふれ,理解を助ける.<BR>3)キーポイントをまとめたプリント資料を第1回目の講義時に配布し,それに沿って講義を行う.
[JABEEプログラムの学習・教育目標との対応]
☆JABEE学習・教育目標:<BR> ・基準1-(1)-(d)「該当する分野の専門技術に関する知識とそれらを問題解決に応用できる能力」->主体的に対応(◎)<BR> ・基準1-(1)-(c)「数学,自然科学及び情報技術に関する知識とそれらを問題解決に応用できる能力」->付随的に対応(○)<BR>☆MDコース学習・教育目標:<BR> ・基準(C)「機械工学の基礎」->主体的に対応(◎)<BR>☆関係するJABEE分野別要件キーワードとその学習時間<BR> ・要件1-(2)「エネルギと流れ」個別キーワード(24)「数値流体力学」に関する学習時間:22.5時間
[その他]
オフィスアワー: 講義終了後または金曜日第V限