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授業科目名  西洋史特殊講義
時間割番号 162209
担当教員名 皆川 卓
開講学期・曜日・時限 後期・木・III 単位数 2
<対象学生>
2〜4年次生。特に中学校社会科または高等学校地理歴史科の教員を目指す学生。
<授業の目的および概要>
近世ヨーロッパの軍制およびその社会的影響に関する最新の研究成果を論じ、個人の暴力が国家の暴力=軍事力に統合されることによって、それが人々の世界観と価値観にどのような変化をもたらしたかを考える。
<到達目標>
近代ヨーロッパ国家の暴力性を直視しつつ、その暴力性を克服するシステムの形成努力を学ぶことで、西洋合理主義に対する客観的な見方を養うことを目的とする。
<授業の方法>
配布したプリントの内容に沿って、講義形式で行う。単元の終了ごとにアンケート形式で質問や感想を聴取し、次回に解答する。成績は期末に行う定期試験と出席状況、そしてこのアンケートの提出状況で評価する。
<成績評価の方法>
No評価項目割合評価の観点
1試験:定期試験 40  %講義理解力/論理的思考力/表現力 
2小テスト/レポート課題 20  %講義理解力/問題設定能力 
3平常点/出席点 40  %講義理解力/問題設定能力 
<受講に際して・学生へのメッセージ>
ヨーロッパに誕生し、世界中に広まった「近代主権国家」を考える一つの視角として、近世ヨーロッパの軍隊に焦点を当てます。これまで国家以外が軍隊を持てないことは常識中の常識でした(勝手に軍隊を作れば「凶器準備集合罪」になる)。しかし近年世界中で民兵隊や軍事会社が作られ、戦闘が行われ、民間人の犠牲も増加しています。こうしたことは、国家が独占的に軍隊を管理していなかった近世のヨーロッパでは、当たり前でした。なぜ国家だけが軍隊を持つようになったのか、国家が軍隊を独占できないとどういう問題が起き、また独占するとどういう問題が起きるのか、近世ヨーロッパ史学の最新の動向を紹介しながら、それを皆さんと考えてみたいと思います。
<テキスト>
  1. テキストは使用しない
<参考書>
  1. 鈴木直志, ヨーロッパの傭兵, 山川出版社, ISBN:4634348004,
    ((出版年)2003年)

  2. ラインハルト・バウマン(菊池良生訳), ドイツ傭兵の文化史−中世末期のサブカルチャー/非国家組織の生態誌, 新評論, ISBN:4794805764,
    ((出版年)2002年)

  3. 戦争の社会史−技術と軍隊と社会, ウィリアム・H・マクニール(高橋均訳), 刀水書房, ISBN:4887082711,
    ((出版年)2002年)
<授業計画の概要>
題目 近世ヨーロッパの軍隊と社会<BR>1.「主権国家」以前の軍隊とは<BR>2.中世後期の軍隊<BR>3.16世紀の軍隊<BR>4.17世紀の軍隊<BR>5.18世紀の軍隊<BR>6.軍隊とナショナリズム<BR>7.まとめと展望