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授業科目名 現代社会と教育
時間割番号 052032
担当教員名 高橋 英児
開講学期・曜日・時限 前期・火・V 単位数 2
<対象学生>
授業科目に関心があり、積極的に参加するつもりのある全学生対象。
但し、「052013 教育と所得」の単位を取得した学生は履修できません。
<授業の目的および概要>
 本講義では、教育を社会との関係から多角的に検討することを中心に行います。現在の子ども・若者が抱える発達・成長の問題の背景として、特に学校教育の根本的な問題としても指摘される過度の受験競争とそれを支える能力主義の成立と展開(企業社会化・消費社会化も伴う)に焦点を当てて、今日までの教育および学校の問題や教育改革の動向について検討します。本講義を通して、教育から社会の現状とあり方を問うこと、また自分のことばで教育を考えることができるようになることを願っています。
<授業の方法>
授業は、講義形式を中心に行いますが、具体的な資料(プリント・視聴覚教材)を用いたり、グループ討議、ワークショップなども取り入れたものにします。
<成績評価の方法>
毎回の授業に課すミニレポート、課題レポート、定期試験などから総合的に評価します。
(ただし、評価の対象は、出席回数が2/3以上の学生とするので、注意してください。)
<受講に際して・学生へのメッセージ>
・「出席」から「参加」へ‐共同探求的な授業を目指しているので、授業への学生諸君の主体的な参加を望みます。授業は、受身の姿勢やただ座っているだけの人には厳しいものとなります。
・講義上の進行もあるので、開始20分を過ぎて入室しない場合は、欠席と見なします。
<テキスト>
  1. 毎回、資料を配付するので特に指定しないが、講義の度に参考文献・関連文献を紹介するので必ず1冊は手に取って読んでほしい。
<参考書>
  1. 堀尾輝久, 現代社会と教育, 岩波新書, ISBN:4004305217,
    (現代社会と教育の関係について概観した本です。簡単に入手できます。)

  2. 乾彰夫, 日本の教育と企業社会, 青木書店, ISBN:4272410407,
    (能力主義と学歴社会がどのように形成されてきたのか、戦後の企業社会の動向と学校教育の関係を詳しく論じています。)

  3. 中西新太郎, 若者たちに何が起こっているのか, 花伝社, ISBN:4763404261,
    (現代の若者の成長と発達の問題を文化(若者文化、消費文化)という視点から考察しています。)

  4. 竹内常一, 子どもの自分くずし、その後, 太郎次郎社, ISBN:481180645X,
    (子どもたちの発達にどんな問題があるのか、またその背景に何があるのかを実践例を挙げながら考察しています。)

  5. 斎藤貴男, 機会不平等, 文春文庫, ISBN:4167443031,
    (現代社会が、機会の不平等が進み弱者を切り捨てる社会になりつつあることを綿密な取材を基に報告してます。私たちの現実を見る視点を変えてくれる刺激的な本です。)
<授業計画の概要>
 講義では、受講生の意見や要望を踏まえて内容を変更することもあります。現在は、以下の内容を予定しています。

1:オリエンテーション

〈子どもたちの現在を見つめる‐大人は子どもと出会えるか〉
2:ある教師と生徒の「物語」‐「教育」の可能性を考える
3:子どもの「荒れ」から見えるもの(1)−少年事件は凶悪化した?
4:子どもの「荒れ」から見えるもの(2)−私たちの「子ども観」を問い直す
5:子どものこころとからだ(1)−若者文化から考える「他者」の問題
6:子どものこころとからだ(2)−大人と子どもが出会うとき

〈現代社会と教育の「過去」と「現在」を見つめる〉
7:学校の「学び」を考える‐学校で「学ぶ」ことの意味は何か?
8:学歴社会と能力主義(1)‐−能力主義に取り込まれる親・子どもたち 
9:学歴社会と能力主義(2)‐一元的能力主義から多元的能力主義へ
10:現代の教育改革を考える(1)−学校選択制を考える
11:現代の教育改革を考える(2)−「ゆとり教育」はどこへ行く?
12:現代の子育て・教育事情をどう見るか‐子育ては大変?
13:生きることと学ぶことを考える(1)‐「フリーター」という生き方
14:生きることと学ぶことを考える(2)‐今、「働くこと」の意味を考える
15:レポート、補講など